Re: 主に食事に関してお聞きしたいのですが…


投稿者 ボマー 日時 1999 年 5 月 14 日 23:27:53:

回答先: 主に食事に関してお聞きしたいのですが… 投稿者 ゆうこ 日時 1999 年 5 月 13 日 15:02:22:

いらっさいませ(^-^)>ゆうこさん

丁度糖尿病学会と重なっていて,さっき帰って来ました.お返事遅れて申し訳あり
ません.さてそれでは早速ひとつひとつ行きましょうか.

>>1)入院当初はIDDMと言われていたにもかかわらずある一種類のウイルスの
>>抗体を調べて(-)であったからといってIDDMではなく、NIDDMだという診
>>断が成り立つものでしょうか?入院時のHbA1cが約19%であったというこ
>>とはIDDMを否定する材料になるのでしょうか?

それだけでは成り立ちません.原因はウイルスだけではないからです.今後IDDMと
云う呼び方は少なくなり1型と呼ばれるようになるかもしれません.
又,確かにHbA1cが19%と云うのは以上高値ではありますが矢張りこれだけでも断
定出来ません.

>>2)食餌療法で毎食のバランスを大切にということですが、何に一番気をつけれ
ばいいんでしょう?各食事のエネルギーが大体偏らないようにできればいいんでし
ょうか?それとも、消化吸収時間の関係で、糖質、蛋白、脂質、それに野菜量まで
厳密にしないと問題なんでしょうか。

消化吸収時間までは考えないでいいように思います.後で述べる砂糖の話とは若干
矛盾しますが程度問題だと考えて下さい.矢張り一番大事なのは総熱量とそのバラ
ンスでしょう.その為の表分類ですから.
また理想的には朝昼夕は同じ単位数が望ましいです.
ただ一言申し上げたいのは食品交換表も入院中の食事も,あくまでも平均的な生活
を送っている人が平均的な運動をして平均的に食事をする事を念頭において作られ
ています.仕事や運動の時間が色々の方がおられる訳ですからその辺は栄養士さん
に入院中に聞いておかれるとよろしいでしょう.
まあ,私が土曜日の夜テレビを見ていて,明日からの2連休の休みは…と云うアナ
ウンスを聞いて“何云ってんだよー,そりゃサラリーマンの人だけでしょ”と文句
云うようなものです(笑)

>>3)表5の単位が不足するのはまずいんでしょうか。表3として少し脂質の多いも
>>のをとったようなときは表5を表3に振り替えても一日に必要な蛋白質と脂質はバ
>>ランスよく取れると思うのですが。(食品成分表を参考にしています)

これはゆうこさんの云われる方法でも構わないです.余りにも脂質が少ないのは問題
ですが,その日の表3にバラ肉等を使っておられれば当然その中には表5は含まれて
いる訳ですから.ちょうど今度の追加コンテンツに書こうと思っていたネタなのです
が,要するに交換表と云うのは飽くまで指標なのです.絶対的なものではありません.
簡単に食事療法をマスターする為の冊子です.まず食品交換表をマスターしてから,
その方それぞれの応用編へ入って行って頂ければ結構かと思います.でもアレンジを
加える時は主治医や担当の栄養士さんにも相談して下さい.

>>また、どうしても、砂糖はだめなんですか。なぜ、砂糖だけがそんなに嫌われるの
>>でしょう?さとうだけが急激に血糖をあげるとは思えないのですが。たとえば、市
>>販のパンには砂糖が入っていても調味料としての砂糖はカウントしませんが、手作
>>りのパンでは市販品よりも砂糖を減らしたとしても調味料としてカウントするべき
>>なんでしょうか。パンと同じ程度の砂糖や脂質でできるお菓子でも嗜好品であるか
>>ら避けた方がいい食品になってしまうんでしょうか。また逆に、補食として砂糖の
>>入った、脂質の少ない手作りのお菓子を食べることは可能なんでしょうか?

いえ,やはり砂糖は急激に血糖を上げます.同じ糖質でもでんぷん等は一度消化吸収
の時点で細かくバラけなければいけなせんのでやや吸収は遅れます.
糖尿病治療の目的は血糖をコントロールして合併症を防ぐ事でしたよね.血糖コント
ロールの中の一つの要素としては食後の急激な高血糖を防ぐと云うものもあります.
その目的からは吸収スピードを抑制する繊維質等を同時に摂取するのは意味がありま
すし,砂糖はなるべく避けるべきと云うのはこう云う理由からです.
手作りと市販の問題は云いだすときりがないのですが,普通はパン1単位は1単位で
結構です.極端に砂糖等を増やさないかぎり.ですから云われている場合は調味料と
してカウントしなくっても結構です.パンと同じ様な成分のものなら表1として取り
扱う事が可能でしょう.
そして補食も(既に単位以外の補食にOKが出ているのなら)云われている方法で可能
です.
何度も申し上げますが飽くまで食品交換表はめやすですので,本当に細かい所を調べ
たい場合は食品交換表のみでなく食品成分表を併用する事になります.

>>4)ビタミン剤や食物繊維の錠剤は活用してもいいんでしょうか?砂糖、食塩無添
>>加の野菜ジュースを時々は利用してもいいんでしょうか?

原則はビタミンや繊維は食物から取るべきでしょうが,最近の食品成分表を見ている
と同じ野菜でも含有ビタミン類等が減ってきているものもあるようですからたまに補
給しても構わないでしょう.現代のように食事や生活が多様化してくると同じ野菜を
使っても調理法のちょっとした違いでビタミンの損失等が異なったりしますから難し
いですよね.でも余りにも完璧主義になってしまうのもしんどい事ですし,大筋を押
さえておけば大丈夫です.

>>5)1日4回インスリンを打っていますが、食事時間は厳密に一定にするべきなんで
>>しょうか?それはどういう理由でしょう?一日1回、2回のインスリンでコントロー
>>ルしている人よりは柔軟性があるように思ってしまうのですが。

ですね.食事の時にあわせてインスリンをその都度補給すると云うのが強化療法ですか
ら理屈には一番合っていますし,柔軟性もあります.その理解で結構です.

>>6)入院中、ただでさえ痩せ過ぎなのに更にやせる傾向にあるのは仕方がないんでし
>>ょうか。入院中は食後2時間の血糖値が200を超えることはなく尿糖も出ていないん
>>ですが。合併症もなく他の病気も今のところ見つかっていません。(26歳、171c
>>m、54Kg、1800Kcal+補食で3〜5単位。病気になる直前は異常によく
>>食べていましたが病気になるずっと前でもとてもよく食べる人で、それでもぜんぜん
>>太らず、ずっと標準体重を少し下回っていました。)本人は、何とかして落ちてしま
>>った筋肉をつけたいと考えています。

これに関してはこのページの下のほうの,藤本裕さんと私の問答“糖尿病の人の体型”
を読んで下さい.参考になると思います.
私としてはお若いので表1,表3を増やしてどんどん運動されれば良いと思います.
(筋肉を作る為に表3を,運動する時のエネルギー補給として表1を)
でも体形と云うのはどうしても個性があるものでみながみな筋骨隆々である必要はない
でしょう.私の知っているロッククライミングの先生は46歳,180cmで58kgですが,
鋼の様な体です.勿論こう云う体形はクライミングには向いていても水泳等には向いて
いませんが.

>>7)食前にRを打っているのですが、うってから彼は厳密に30分以上待ってから食事
>>にしています。それが、看護婦さんには嫌味に見えてしまうようで、「自宅では厳密
>>に30分待たなくてはならないけど病院ではすぐに食べていいんです」なんて言われた
>>そうですが、どうなんでしょう?彼は、インスリンがききだすまでに30分はかかるん
>>だし、一度血糖が上がってしまったらインスリンは効きにくくなるんだから待った方
>>がいいと考えています。私もその考え方は正しいように思うのですが…

はい.出来るならそうして下さい.ただ日常生活に戻りますとその時間が取れなかったり
するので“頂きます!”の前に打っても結構ですよ,とは云っています.
また人によってはインスリンの吸収の差がありますから,最も効果的な時間を血糖自己測
定で確認しておくのも有効な事でしょう.

こんなところでしょうか?もし,私の回答がピントの外れているものでしたらすみません
がもう一度書いてください.



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